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相続の遺産分割の方法(分け方)は4つ 相続ブログ第9回

 

こんにちは。松戸市・柏市・流山市で相続税に強い税理士の秋元隆正です。

 

相続ブログの第9回目は、相続の遺産分割の方法の説明と各々のメリット・デメリットについて。

 

 

 

遺言書がない場合には、遺産分割協議と言って、相続人同士で誰がどの財産をもらうかを決める話し合いをおこなうことになります。

 

 

遺産が現預金だけであれば、妻には××円、長男には××円、長女には××円、と言うように簡単に分けることができます。

 

しかし、遺産の中には自宅や賃貸アパートの土地・建物など、現預金のように簡単に分けられない遺産があるというのが現実です。

 

また、土地が2つあったとしても、場所や面積・用途などが違うため、価値が同じということはありません。

 

 

そういったことが想定されるため、遺産分割の方法には4つあります。

 

では、具体的なことを見ていきましょう。

 

 


目次

 

1 遺産分割の方法(分け方)は4つ

2 現物分割

3 代償分割

4 換価分割

5 共有分割

6 最後に

 


 

 

1 遺産分割の方法(分け方)は4つ

 

先ほども言いましたが、遺産の中には土地・建物のように簡単には分けられなかったり、価値が違ったりするものがあります。

 

また、被相続人の自宅は誰も済まないので売却して分けたいというケース、法定相続分で分けたいというケースもあります。

 

 

そういったことを踏まえて、遺産分割の方法には次の4つがあります。

 

現物分割 ・ 代償分割 ・ 換価分割 ・ 共有分割

 

 

 

次は、それぞれがどのような分け方なのか?と、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

 

 

 

 

2 現物分割

 

現物分割とは、遺産をそのまま(現物のまま)分ける方法です。

 

土地なら土地のまま、建物なら建物のまま分けるということです。

 

 

 

例として、次のケースを見てみましょう。

 

ケース1

 

相続人

妻・長男・長女の3人。

 

遺産

現預金 1,500万円

自宅の土地・建物 3,000万円

賃貸アパートの土地・建物 2,000万円

合計 6,500万円

 

 

 

遺産分割

 

妻  ・・・ 現預金500万円と自宅の土地・建物 3,000万円

長男 ・・・ 賃貸アパートの土地・建物 2,000万円

長女 ・・・ 現預金 1,000万円

 

 

 

このように、遺産ごとに単純に分けるのが現物分割です。

 

 

 

次にメリットとデメリットについて説明します。

 

メリット

 

・分かりやすい

・遺産をそのままの形で遺せる。

・分割後の所有権が明確になる。(利用・売却等がしやすい。)

 

 

デメリット

 

・公平に分割することが難しい。

 

 

 

上記のケース1を見てもらえば分かると思いますが、現物分割は分かりやすい反面、遺産ごとの価値が違うため、公平な分割が難しいです。

 

価値の差が少ない場合や、差があることに相続人同士が納得していれば問題はないのですが、1人でも納得できない相続人がいると、現物分割で分けることは難しくなるでしょう。

 

 

 

 

3 代償分割

 

代償分割とは、相続人の1人が特定の遺産を現物でもらう代わりに、他の相続人に自己の金銭等を渡す方法です。

 

この方法は、遺産のほとんどが、不動産のような分けにくい財産の場合の相続分の調整に使われます。

 

 

 

ケース2

 

相続人

長男・長女の2人。

長男は被相続人と同居していた。

長女は別所帯。

 

遺産

現預金 1,000万円

自宅の土地・建物 3,000万円

合計 4,000万円

 

 

 

この場合、被相続人と同居していた長男にとっては自分の自宅でもありますので、土地・建物は長男が相続したいと思うでしょう。

 

しかし、他の遺産は現預金 1,000万円だけですので、長女が現預金 1,000万円全部を相続しても長男と長女の差は 2,000万円になります。

 

そうすると、長女からは不満がでます。

 

そこで、長男が自宅をもらう代わりに長女に金銭を支払って、相続分を調整します。

 

 

 

遺産分割

 

長男 ・・・ 自宅の土地・建物 3,000万円 - 代償金 1,000万円 = 2,000万円

長女 ・・・ 現預金 1,000万円 + 代償金 1,000万円 = 2,000万円

 

 

 

こうすることにより、公平な遺産分割がおこなえることになります。

 

 

 

 

メリット

 

・遺産をそのままの形で遺せる。

・公平な(に近い)分割がおこなえる。

 

 

デメリット

 

・代償金を支払う側に資金が必要。(資金がない場合には、実現が難しい。)

・金銭ではなく不動産を代償金にすると、渡した側(長男)は不動産を売却したとみなされて、所得税と住民税がかかる可能性がある。

・遺産の評価で揉める可能性がある。(払う側は低く、もらう側は高くしたいため。)

 

 

 

代償分割をおこなうには、遺産分割協議書に長男が長女に代償金を支払う旨を記載することになります。

 

 

なお、代償金は相続分の調整であり、相続税の範疇のため、贈与税はかかりません。

 

しかし、遺産の額を超えて代償金をやり取りしたり、遺産分割協議書の記載がなかったりすると、長男から長女への現金贈与となってしまいますので、注意してください。

 

 

 

 

4 換価分割

 

換価分割とは、遺産を売却し、金銭に換えて分割する方法です。

 

分割しにくいのであれば、いっそお金に換えようということですね。

 

相続人が子ども達だけ・子ども達には持ち家があるなど、相続しても誰も使わない財産がある場合に、よく使われる方法です。

 

 

 

ケース3

 

相続人

長男・長女・次男の3人。

3人とも被相続人とは別所帯で、本人または配偶者の持ち家に住んでいる。

 

遺産

自宅の土地・建物のみ 3,000万円

 

 

 

このケースでは、誰も被相続人の自宅は使いませんし、所有権の一部をもらっても仕方ないので、売却して分けようということになるでしょう。

 

 

 

遺産分割

 

公平に分ける場合

長男・長女・次男 ・・・ 1/3ずつ

 

長女が頻繁に実家に帰って面倒を見ていた分などを考慮する場合

長男 3/10 ・ 長女 4/10 ・ 次男 3/10

 

 

 

実際には、いくらで売却できるかわかりませんし、売却金額から売却費用などを差し引いた残りを分けることになるので、割合で分けるのが一般的です。

 

また、割合は全員同じでもいいし、同じである必要もありません。

 

なお、売却した際の所得税・住民税は、換価分割をおこなう財産をもらった相続人全員が、各々もらった割合で売却したとして課税されます。

 

 

 

メリット

 

・公平な分割がおこなえる。

 

 

デメリット

 

・売却に手間と時間がかかる。(買い手が見つからないケースもある。)

・希望金額で売却できるとは限らない。

・売却費用・所得税・住民税などがかかる。

・遺産をそのままの形で遺すことができない。

 

 

 

換価分割をおこなう場合も、遺産分割協議書に記載が必要となります。

 

換価分割をする財産、誰と誰がどのような割合で相続するのか、遺産を売却して金銭で分ける旨を記載します。

 

 

 

 

5 共有分割

 

共有分割とは、1つの遺産を複数の相続人で共有して相続する方法です。

 

現物分割と同じように、遺産そのもので相続しますが、所有者は1人ではなく複数人なります。

 

これは、法定相続分による分割をおこないたい場合に使われる方法です。

 

 

 

ケース4

 

相続人

長男・長女の2人。

長男は被相続人と同居していた。

長女は別所帯。

 

遺産

現預金 1,000万円

自宅の土地・建物 3,000万円

合計 4,000万円

 

 

 

ケース4は、ケース2と条件は一緒です。

 

しかし、長男が代償金を支払うことができず、それを長女が納得しなかった場合を考えてみましょう。

 

 

自宅は長男の自宅でもありますので、自宅の土地・建物を売却することもできません。

 

従って、現物分割・代償分割・換価分割のいずれも使うことはできません。

 

そうすると、自宅の土地・建物の持分で調整するしかなくなります。

 

 

 

遺産分割

 

長男 ・・・ 自宅の土地・建物 3,000万円の 2/3 = 2,000万円

長女 ・・・ 現預金 1,000万円+自宅の土地・建物 3,000万円 × 1/3 = 2,000万円

 

 

 

一見、解決したように見えますが、長女は自宅を使うことはできませんので、長女は相続したうちの1,000万円はもらっていないのと同じ状況になります。

 

仲が悪くないうちはいいのですが、兄弟ゲンカが始まったり、長女にお金が必要になる事態が生じたりすると、話は変わってきます。

 

 

長女は、自分の持分1/3を長男に買い取るように言ってきます。

 

ここで長男が買い取ることができればいいですが、買い取れないと、長女は法的措置や強硬手段に出ます。

 

 

 

通常であれば、共有状態の不動産の一部持分だけを買う人はいないので、共有者全員が同意しないと売却できません。

 

それを見込んで、以前は税理士などの専門家も共有でもいいと言っていました。

 

 

しかし、それは一昔前の話です。

 

ここ数年、共有状態の不動産の持分を買い取る不動産業者が出てきました。

 

買い取った不動産業者は、自宅に住んでいる長男に持分1/3の買い取りを請求してくるか、共有物分割請求訴訟(共有状態を解消するための訴訟)を起こします。

 

 

長女自身が共有物分割訴訟を起こすケースも含め、長男が自宅に住み続けるためには資金が必要になるでしょう。(もしくは、自宅を出ていくことになります。)

 

 

 

これが、収入がある賃貸物件なら大丈夫かというと、そうでもありません。

 

賃貸物件の管理の手間や管理費用が相続人の誰か1人に集中して、それが原因で兄弟ゲンカが始まることも考えられます。

 

 

 

更に、長男・長女が亡くなった場合には、共有者が増える可能性があり、そうなると権利関係が複雑化していきます。

 

 

 

このように、共有分割は問題を先送りにしているだけ・問題が発生する時間を作っただけということになります。

 

 

 

メリット

 

・分割が簡単。

・公平な分割がおこなえる。(未来永劫揉めないという条件付き。)

 

 

デメリット

 

・問題の先送りに過ぎない。

・先送りにしたことにより、揉める原因を新たに作りだすことにもなる。

・将来、権利関係が複雑化する可能性がある。

 

 

 

 

6 最後に

 

今回は、相続の遺産分割の方法とメリット・デメリットについて説明しました。

 

 

一つ補足すると、この不動産は現物分割・この不動産は代償分割というように、4つの方法を組み合わせて使うことができます。

 

従って、遺産ごとに選択する方法を変えて、相続人全員が平等・納得した遺産分割を目指すことは可能でしょうし、それが理想です。

 

 

しかし、相続人全員が平等・納得した遺産分割をおこなうことは、なかなか難しいのが現実です。

 

困ったり悩んだりしているのであれば、すぐに相続の専門家に相談することをお勧めします。

 

 

 

また、この記事が円満な遺産分割の参考になれば幸いです。

 

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

 

松戸市・柏市・流山市で相続税に強い税理士 秋元隆正のブログ第9回

2019年5月21日

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